今回は、新築戸建て住宅をご検討中の方々に向けて、日本の厳しい夏の暑さでも涼しく快適な住空間を作るためのアドバイスをご紹介します。多くの方が、夏場でも涼しい家で快適に過ごしたいと考えることでしょう。特に、日本の夏は年々厳しくなり、室内でも熱中症のリスクが高まっています。しかし、新築住宅を建てれば必ずしも夏でも涼しい家になるわけではありません。なぜなら、暑さの原因を正しく理解し、それを解決する必要があるからです。この記事では、新築戸建て住宅を検討している方々に向けて、夏でも涼しい家を実現するための重要なポイントをご紹介します。
夏、涼しい家の実現!暑さ対策のポイントはどこ?
新築戸建て住宅の購入をお考えの方々に向けて、夏でも涼しい住まいにするために必要な暑さの原因とその解決策を紹介していきましょう。現在の住宅市場では、断熱材が進化しているため、「最近の家なら夏も涼しいだろう」と考える方も多いかもしれませんが、そのような単純な考え方ではなく、しっかりと暑さ対策を考慮する必要があります。ハウスメーカーの営業担当者が「夏も涼しいですよ」と言っても、それだけで安心してはいけません。現代の住宅でも適切な暑さ対策が必要です。ですから、以下で紹介する、家の中が暑くなる原因を理解し、それに対する対策を新築時に考えておくことが重要です。
①断熱材は「入っていれば良い!」ではない!
「夏は涼しく、冬は暖かい」という理想的な住空間を作る上で欠かせない要素は断熱材です。しかし、ほとんどの住宅には断熱材が入っているにも関わらず、なぜ夏には暑く感じる家と涼しい家があるのでしょうか?
実は、新築戸建てを建てたのに「夏は暑くてたまらない…」という状況になるのは、断熱材の厚みが不十分なことが原因です。本来、適切な断熱材が施工されていれば、外気の高温を遮断してくれるはずです。しかし、以下のような状況では、外部からの熱が室内に侵入してしまいます。
・断熱材が薄くなっている
・断熱材が少ない場所がある
・施工が雑で隙間が生じている
これらの状況では、新築住宅であっても外部の熱が十分に遮断されず、室温が上昇します。さらに不幸なことに、断熱材が入っているため室内の温度が一度上がると、下がるのが難しくなるリスクもあります。
夏でも涼しい家を目指すなら、断熱材の施工に特に注意が必要です。打ち合わせの際には、以下の点を業者と話し合いましょう。
・内断熱と外断熱の両方を行う
・屋根や天井部分の断熱も確実に行う
・隙間なく断熱材を施工する
②断熱材だけを重視したのではダメ!しっかりと日射対策も!
最初の説明を見ると、「断熱性を高めれば、夏も涼しくなるんだ!」と思われるかもしれません。しかし、「夏でも涼しい家」を実現するには、それだけでは足りません。夏場は強烈な日差しが建物に直接当たります。その結果、断熱材自体も徐々に暖かくなってしまいます。断熱材は保温性が高いため、一度温まるとなかなか冷えません。これはまるで真夏にダウンジャケットを着用して外に出るようなものです。
したがって、「夏でも涼しい家」を実現するためには、断熱材を温めない工夫が必要です。その一つの対策として、遮熱シートを使用することが挙げられます。これは、屋根や外壁の内側に施工し、夏の強い日差しを反射して断熱材の温度上昇を防ぐものです。一般的には、赤外線を高い反射率で反射するアルミを蒸着したシートが使われます。
分かりやすい例を挙げれば、車を駐車する際にサンシェードを使うことです。実際に、サンシェードの使用有無で車内の温度に大きな差が生じます。同様に、外壁や屋根などの断熱・遮熱対策を施すことで、夏や冬、常に快適な住空間を実現できるのです。
③見落とされがちなのが、窓の性能
「断熱材や遮熱シートを施工したので、夏も安心だろう」と考えるのは大きな誤解です。なぜなら、多くの新築戸建て購入者が窓の断熱性能を見落としてしまうことがあるからです。以前の記事で、「窓の断熱性能が部屋を冷え込ませる原因」と紹介しましたが、実は夏場に部屋が暑くなるのも、窓の断熱性能が低いことが原因の一つです。
憧れのマイホームを考える方々も、窓の大きさや配置に注目しますが、実際に窓サッシや窓ガラスを選択する際にこだわる方は少ないです。しかし、窓の種類によって、断熱性能が大きく異なることを忘れてはいけません。かつては、軽量で施工が簡便で安価なアルミサッシと単板ガラスが一般的でした。しかし、安さだけで窓を選ぶと、日差しによって部屋が温められ、快適な住空間が実現できなくなります。
「夏でも涼しい家」を実現したいのであれば、高断熱性の窓を選択することが重要です。例えば、「Low-E複層ガラス(遮熱型)」は、太陽熱の侵入を防ぎ、室内温度の上昇を抑える効果があります。そのため、日差しが強い部分の窓には、このような特殊な窓を設置するなど、窓の材質を工夫することがおすすめです。
④勘違いしている方が多い遮光カーテンについて
遮光カーテンは夏場の室内温度上昇を防ぐ有効な手段の一つとして考えられています。太陽光が室内に入らないようにすることで、室内の温度上昇を抑えることが期待されます。しかし、遮光カーテンによる効果はあくまでも「ないよりはマシ」といった程度であり、期待しすぎるのは得策ではありません。これは、「せっかく買ったのに…」と感じるかもしれませんが、実際に考えてみれば当然のことです。
遮光カーテンの効果はあくまでも室内での話です。つまり、カーテンで日射を遮断しても、太陽の熱は既に室内に入り込んでおり、室内にこもっているわけです。そのため、「遮光カーテンを閉めているのに室内が暑い」と感じるのは、実は室内に熱がこもっているためなのです。
「夏でも涼しい家」を実現するためには、太陽の熱を室内に入れないことが肝心です。そのためには、以下のような対策が有効です。
・軒の出を長くして、日射を室内に入れないようにする
・すだれやサンシェードを設置し、外側で太陽光を遮断する
・窓に遮熱フィルムを貼って、太陽の熱をカットする
これらの対策は、外側で太陽の熱を遮断することで、室内の温度上昇を防ぐ効果が期待されます。最近では、軒のない住宅が増えていますが、軒は室内に入る日射を調整するために重要な役割を果たします。可能であれば、軒のある住宅を選ぶことがオススメです。
⑤住宅の換気性能も重要!
これまで述べた対策をすべて講じたとしても、まだ問題は完全に解決されていないかもしれません。夏の暑さ対策は非常に難しい課題です。
特に最近の住宅では、常に外部からの暑い空気が侵入してくる「24時間換気システム」が採用されています。これにより、断熱対策を施しても、外気が室内に入り込みます。このような状況においても、さまざまな対策を行っているのに、なお問題が残るのは驚きかもしれませんが、近年の住宅は高気密化されており、健康被害を防ぐために換気が必要なのです。
このため、エアコンで室内を冷やしても、外部からの暑い空気が侵入し、エアコンの効率が低下し、光熱費がかさんでしまうという状況が生じます。そこで、熱交換型の24時間換気システムの導入がおすすめされます。これにより、外部の暑い空気が涼しい空気と交換され、エアコンの効率低下を緩和し、エアコンを停止させた後でも快適な環境を保つことができます。
まとめ
今回は、新築戸建て住宅をご検討中の方に向けて、夏場の暑さ対策についてご紹介しました。一部の方は、戸建て住宅に住めば自然に「夏でも涼しい家」になると思っているかもしれませんが、実際にはそう単純なことではありません。実際に住んでみると、夏は思っていた以上に暑く感じることもあるのです。
このような状況は、建物の外観や間取り、住宅設備にばかり注目して、住宅の断熱性や遮熱性を考慮しないことが原因と言えます。もちろん、すだれを設置したりエアコンを利用すれば、無理に涼しい環境を作ることもできます。しかし、せっかく建てた新築の住まいにすだれを取り付けたくないと思う方もいらっしゃるでしょうし、エアコンの使用は光熱費の増加につながります。
住宅の機能を確保するためには、適切な対策を講じて適切な材料や施工を行うことが非常に重要です。長期間過ごすために、自分がどのような住まいを望んでいるのかよく考え、それを建築業者や不動産会社に伝えることが肝要です。夢のマイホームを後悔しないためには、外観や間取りだけでなく、「快適な生活空間」を作るための機能性も検討しておくことが重要です。